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日本言語学会学会賞

日本言語学会では,学会の研究活動の一層の向上・充実を目的とし,若手会員に主眼を置いて,優れた研究を顕彰するために,論文賞大会発表賞の2つの賞を創設いたしました。優れた研究論文や研究発表がますます活発に投稿・応募されることを期待しております。
なお、直近の受賞者は以下の通りです。

  • 2019年度 論文賞 [詳細はこちら]
    • 倉部慶太氏 "Deaspiration and the Laryngeal Specification of Fricatives in Jinghpaw"
  • 第160回大会(2020年春季,オンライン)の大会発表賞(3件) [詳細はこちら]
    • 王 丹凝氏「南琉球宮古語新城方言における再帰代名詞duuとnaraの使い分け」
    • 津村 早紀氏(共同発表者:新井学氏、馬塚れい子氏)「子どもの言語理解能力の発達と抑制機能の関係性」
    • 峰見 一輝氏(共同発表者:広瀬友紀氏、伊藤たかね氏)「日本語wh疑問文における文法性の錯覚と記憶処理─文読解中の視線計測実験─」


過去の受賞者については本ページ下部のリンクよりご覧ください。

○日本言語学会論文賞 (2011年度より実施)

過去2年度(4号分)の『言語研究』に掲載された「論文」の中から,特に優れた論文に対して授与されます(賞状および副賞賞金)。(毎年1件。最大2件)(「日本言語学会論文賞」規程)

2019年度の論文賞(1件)

倉部慶太氏
"Deaspiration and the Laryngeal Specification of Fricatives in Jinghpaw"『言語研究』第153号(2018年3月), [本文PDF]

 本論文は,ジンポー語(北ビルマ:シナ・チベット語族)の一見異なるいくつかの形態・音韻現象について,無気音化という観点から統一的な説明を提案する。すなわち,無声摩擦音に[+spread glottis]の素性を付与することにより,帯気閉鎖音の無気音化現象を一般的な音韻原理である義務的起伏原理(OCP)から導くことができるという分析である。異質に思える音声群が音韻的に自然類を成すと分析するだけで,一見バラバラな諸現象にシンプルかつ統一的な説明を与えることができることが説得的に主張されており,音声を音韻論的に分析することの重要性を示す論文であると言える。また,フィールドワークを通したデータの収集や堅実な観察など,方法論の面も評価された。以上の理由から,当該論文を日本言語学会論文賞授賞推薦論文としてふさわしいものと判断する。

授賞式(第159回大会,11/17,名古屋学院大学)

2019年度論文賞

○日本言語学会大会発表賞 (2011年秋季大会(第143回大会)より実施)

大会における優れた口頭発表・ポスター発表に対して授与されます(賞状および副賞賞金)。(毎回数件)(「日本言語学会大会発表賞」規程)

第160回大会(2020年春季,オンライン)の大会発表賞(3件)


王 丹凝氏
「南琉球宮古語新城方言における再帰代名詞duuとnaraの使い分け」

 本発表は南琉球宮古語新城方言における再帰代名詞の3つの形式、una、duu、naraの使い分けを記述し、特に機能的に類似した duu と nara に注目し、duu は一般的な再帰代名詞として汎用性がある一方、nara の使用には人称・格の制限があることを報告した。さらにCase Hierarchy (Blake 2001,2004)との関連を指摘し、本研究の類型論への示唆が論じられた。インフォーマントが1人であることや、発表スライドについて一部音声解説が欠落しているところなどについて改善の余地を指摘されたが、全般的に論が明快で発表もたいへん分かりやすく、方言調査に基づく記述にとどまらず類型論への貢献が論じられるなど、将来性の観点からも高い評価が得られた。


津村 早紀氏(共同発表者:新井学氏、馬塚れい子氏)
「子どもの言語理解能力の発達と抑制機能の関係性」

 本発表は、絵の判定に基づくGo/No Go課題によって計測した抑制機能の指標とガーデンパス文の解釈という言語処理機能の指標に相関があるかを5歳から8歳までの⼦どもを対象として検証した。その結果、両者の関連がみられ、混乱を誘発する⽂の理解において、抑制機能の個⼈差が影響している可能性が⽰された。刺激として用いられたガーデンパス文の逸脱性に関して意味の観点からの統制が必ずしも十分でないといった課題は残されているものの、実験計画や問題設定については新規性および発展性があり、着実な分析手法が取られている点などにおいて高い評価がなされた。


峰見 一輝氏(共同発表者:広瀬友紀氏、伊藤たかね氏)

「日本語wh疑問文における文法性の錯覚と記憶処理─文読解中の視線計測実験─」

 本発表は中央埋め込み補文を含む主節wh疑問文をめぐって、文法性の錯覚が作業記憶への探索を駆動するかを視線計測によって検証した結果を報告している。ここで問われている研究課題は、文解析器と文法が独立した異なる認知システムなのか(「独立仮説」:Townsend and Bever 2001)、それとも同じ認知システムなのか(「同一仮説」::Lewis and Phillips 2015)である。本発表では、文法性錯覚に基づく読みの促進が非文においてのみ観察されたと報告され、文解析器が文法性によって異なるふるまいを見せる点で「同一仮説」を支持するとの結論が出された。促進と抑制のロジックがやや分かりにくかったが、文法性の錯覚の実時間処理を正文と非文の比較から検証した点に新規性があり、また、論の立て方が周到で、発表もたいへん落ち着いていて着実だった点に高い評価を与えられる。



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