日本語/English
日本言語学会について
入会・各種手続き等
学会誌『言語研究』
研究大会について
学会の諸活動
その他関連情報

格助詞「に」と後置詞「に」

加藤 幸子(東北大学大学院生/MIT)
橋本 知子(南山大学研修生)
村杉 恵子(南山大学)

 本稿では、日本語の「に」には、韓国語では与格-ey/-eykeyではなく対格-lul/ulが対応する場合があるという事実を指摘する。例えば「バスに乗る」は、韓国語では「pesu-lul/*eythata」(バスを/*に乗る)のように目的語が対格で表されるが、この種の「に」は日本語において格助詞であるとする分析を示す。

 更にこの分析が言語獲得の事実から支持される可能性を論ずる。Murasugi and Hashimoto(2000-2002, 2004)及びMurasugi, Hashimoto and Kato (2003) は幼児の「に」の獲得について段階があることを指摘している。場所などを表すような後置詞「に」は日本語母語獲得過程の早い段階から産出上観察されるが、同時期に「乗る」などの動詞の目的語の「に」は観察されないことから、これら二つの「に」が統語的に異なる性質をもつ可能性を示唆する。

プリンタ用画面

このページの先頭へ