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日本語の受益構文における否定性・アスペクト性の浸透現象

澤田 淳(早稲田大学大学院生)

 本発表では、(i)「~てくれる」構文と否定性、(ii)「~てくれる」構文とアスペクト性、の関係に関する考察を行い、次の2つの観察を提示した。

 (1) (i)観察I:「~てくれない」では、否定的事象が恩恵的でないと捉えられており、「~ないでくれる」では否定的事象が恩恵的であると捉えられている。

  (ii)観察II:「~てくれている」では、「現象」を表す事象がその場で恩恵的であると捉えられており、「~ていてくれる」では、「性質」・「習性」を表す事象が恩恵的であると捉えられている。

 (2)浸透性の仮説:「~てくれない」の「ない」が表す否定性、「~てくれている」の「ている」が表すアスペクト性は、「~てくれる」に留まることなく、「~てくれる」が包み込む事象の内部にも浸透する。

本発表では、この「浸透現象」は、「~てくれる」が有する「透明性」の性質から生じることを示唆した。

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