幼児による「WH+も」の習得について

山腰 京子(専修大学)

英語のeveryに対応する日本語の全称数量詞は,不定詞と呼ばれる「誰/どの/何」などに「も」が付いた形で(以下「WH+も」と呼ぶ)「誰も/どの...も/何も」といった数量詞になる.それらは疑問詞と形態が類似しており,日本語を母国語とする子供にとって習得が容易でないと予測される.本発表では,「WH+も」が含まれる肯定のYes/No疑問文(e.g. 誰もが泣いたかな?)の場合には子供は「WH+も」を疑問詞に誤って解釈するが,Yes/No疑問文中に「WH+も」だけでなく否定が含まれる場合(e.g. 誰もが泣かなかったかな?)には,子供は「WH+も」を大人と同様に数量詞として解釈する率が高いという実験結果を報告した.そしてその差はLFでの「も」の位置の違いによる(cf. Hagstrom(1998))と考えられることを指摘した.