ペルシャ語児の「形容詞+kærdæn」使役と日本語児の「~する」使役の習得の比較
―使用依拠アプローチの観点から―

ギィアーイー・レイラー
鈴木陽子

本研究は使用依拠モデルの観点からペルシャ語児の「形容詞+kærdæn」使役と日本語児の「~する」使役の習得について比較する。CHILDESのペルシャ語児と日本語児のデータ、更にイランで収録した107人の発話データを観察した結果、2つの傾向が見られた。第一に、使役動詞の初出は子供が親に対して表現したい動詞が表す行為を身振りで見せ、日本語では「こうして」、ペルシャ語では“injuri kærd”などと発話するような構文である。第二に、ペルシャ語ではすべての形容詞は「kærdæn」と結合することによって、使役動詞を生み出す。そのため、ペルシャ語児は名前を知らない行為について発話するとき、大人の言語に他の種類の使役動詞が存在する場合にも「形容詞+kærdæn」を発話する。一方、日本語児は「オノマトペ+する」を使用する。このような過剰一般化の理由として、「する」と「kærdæn」の利便性が考えられる。