英語における談話展開の方法
―日本語における談話展開の方法との比較―

田中 香織(フェリス女学院大大学院)

英語における談話展開の方法において Labov and Waletzkey (1967) は6つの要素で構成される個人的経験物語を分析し,個人的物語を語る上で最も重要と思われる要素である「評価」には「物語の外枠で付け加えるもの」と「物語に内包されたもの」があることを認めている.これは,久木田恵 (1990) が談話展開のパターンとして認めた「主観直情型」と「客観説明累加型」に共通すると考え,ハリウッドスター 10人の談話を分析した.結果,談話資料の文頭や文中に「and」や「so」の順接の接続詞及び「you know」という文修飾語を用いるパターンが多く見られた.どちらも客観説明を累加してひたすら聞かせていく特徴から「物語に内包されたもの」に当てはまり,その特徴は類型化すると「客観説明累加型」と共通している.しかしながら,「評価」のみが「主観直情型」で語られているものも見受けられた.