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バンティック語のヴォイスとフォーカス

内海 敦子(東京大大学院)

スラウェシ島北部で語されているバンティック語は,オーストロネシア諸諸の一つである.バンティック語の動詞は,一つの態 (Active voice) を持つ intransitive verb,二つの態 (Active voice と Patient voice 1) を持つ transitive verb,三つの態 (Active voice と Patient voice 1 と Patient voice 2) を持つ ditransitive verb がある.

接頭辞 paN- は,transitive verb に付加されて三つの態をとりうる ditransitive verb を形成することがある.これらの動詞は,最大三つの態を取りうるヴォイスのシステムを持っていると言える.

しかし同じように transitive verb に接頭辞 paN- が付加した時,行為者を主語とする Active voice の形を持たないが,その他の二つの態をもつ動詞が多数存在する.これらはそれぞれ道具を表すものを主語としたときの動詞の形,場所を表すものを主語としたときの動詞の形であり,フィリピン諸語に見られるフォーカスの特徴を示す.バンティック語には,ヴォイスのシステムと,フォーカスの特徴がそれぞれ現れていると見ることができる.

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