外来語の語中における音節性の喪失: /ru/, /su/の振る舞いの特殊性について

儀利古幹雄

Kubozono(1996)は、平板型アクセントを取りづらいとされる日本語の外来語でも、語長が4モーラで語末が軽音節の連続であり、且つ語末が基底母音である場合は、平板型生起頻度が極端に高くなるという一般化をなした(e.g., プラズマ)。ただ、Kubozono(1996)の一般化を全て満たしていても、平板型で発音されない外来語も少なからず観察される(e.g., シエスタ, ハレルヤ)。

以上のような事実を踏まえた上で本研究では、主に東京方言話者に対して発話調査を行い、Kubozono(1996)の一般化を満たしていても平板型で発音されづらい外来語は、語末から2モーラ目が /ru/, /su/ である場合が多いことを明らかにした。さらに、このような事実に対する理論的な説明として、語末から2モーラ目の /ru/, /su/ が音節性を喪失しており、先行するモーラと共に重音節を構成しているという分析を提示した。