日本語/English
日本言語学会について
入会・各種手続き等
学会誌『言語研究』
研究大会について
学会の諸活動
その他関連情報

アラビア語エジプト方言の bi- を伴う未完了形と無標的未完了形

榮谷 温子(東京外国語大アジア・アフリカ言語文化研究所COE非常勤研究員)

本発表では,アラビア語エジプト方言の,無標の未完了形と接尾辞 bi- を伴う未完了形との,共通点や相違点,互いの関連を明らかにした.その際,両形式の表すアクチュアル性に注目し,その差が両者の用法の違いに関わっていることを示した.例えば,特定の時間に起こった,アクチュアル性の高いことがらは,bi- を伴う未完了形で表されるが,時間を超越した普遍的な事実は,無標の未完了形で表される.但しこの2つは連続的であり,反復的に生じて時間的な制約の緩い事柄は,どちらでも表され得る.

未来形の代用と言われてきた,時を示す従属節内の無標の未完了形も,未実現を表すものととらえ,アクチュアル性との関わりで,整合的に説明した.無標の未完了形の他の用法も,同様の枠組みで説明できる.また,bi- を伴う未完了形が,臨場感を持って事柄を伝えるのに対し,無標の未完了形では,不確実な意味合いが含まれてしまうことを例示した.

プリンタ用画面

このページの先頭へ