日本語の接続詞ソコデについて
―発話行為理論の観点を軸に―

本多 真紀子(大阪大大学院)

接続詞ソコデの用法については,発話行為理論的な観点を中心にした分析が有効であると考えられる.ソコデには,その後文の発話が,1) 言明表示型,2) 行為指令型,3) 行為拘束型となるものがあり,さらに,後文発話が,4) それ以降の叙述の話題を表すもの,5) 後続談話の切り出しを表示するものが認められる.5) は発話行為理論的な制約が解除されているものである.調査対象資料(各種の文章)での出現頻度は 1) が圧倒的に多く,4) 5) はごく少数である.

接続詞ソコデと「指示詞ソコ+格助辞デ」との区別は,文連鎖に因果関係キャンセルの表現を付加して,不適格になる,または文間の関係が変わるか否かで行える.また,接続詞のソコデの諸用法の展開は,「指示詞ソコ+格助辞デ」からの史的変化の結果として生じた可能性がある.