間接話法の被伝述部における法助動詞 must の意味解釈
―「視点」という観点から―

岡本 芳和(関西外国語大大学院)

英語の話法において,直接話法の中で報告される助動詞 must が,間接話法で報告される時,その被伝達部において様々な形式で報告される.must が話し手の義務,have to が外的要因から生じる義務を表わすというもともとの意味の違い,「視点」の違いという語用論的な概念を考慮すると,must が have to に変化したり,しなかったりする.本研究発表では,これらの変化が起こるプロセスについて注目した.これを検証するにあたって以下の図を話法における助動詞 must の分析のモデルとして提案した.

図

X=義務を課す者,Y=義務を負う者,Zは報告者を表わしている.
(但し,X=話し手,神,法律,習慣,文法,注意書き,自然なども含む.)
報告者が X に視点を置いて報告するのか,或いは,Y に視点を置いて報告するかによって被伝建部で must, haveto, will have to のいずれかの使用が決定されることを論じた.