言語意識の諸相とその関連性について

玉井 宏児(東京外国語大大学院)

言語意識とは「言語主体が言語に対する抱く意識のこと」と定義される.本発表では様々な言語意識を「何に対しての」という側面と「どのような意識か」という側面の二つから考察した.「何に対しての」という側面では大きく体系に関する意識と個々の表現に対する意識とに分類される.そして「どのような意識か」という側面では大きく〈理想〉と〈現実〉に分類される.〈理想〉には規範意識からイメージまでを,〈現実〉には使用意識と位置付け意識を挙げることが出来る.

言語使用は言語意識と関連をみせると考えられるが,その関連の仕方は場面によって異なる.また言語意識同士も,体系への意識と個々の表現への意識とでは,関連の仕方に「ずれ」が見られる.また,個々の表現の位置付けによって意識や使用のあり方が変容する.