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命題態度副詞としての「どうも」の特性について

山田 陽子(東京大大学院)

一般に,評価副詞であれば認識副詞として機能することはないし,認識副詞であれば評価副詞として機能することはないが,「どうも」は,「どうも頭が痛い」のように,評価副詞として,また「どうもあの人は泥棒らしい」のように,認識副詞として機能する.本発表では,この点に焦点を当てながら,「どうも」の意味拡張の過程を考察し,次の結論に至った.(1) 話し手自身の経験を基に,「どうしても~ない」と判断することを表す「どうも」が,17世紀中ばに現れ始めた.そして,その判断内容は,話し手に望ましくない事態であった.(2) この,「どうしても~ない」という判断のあり方を起点にして,推論の語義化と使用範囲の拡張が始まったため,「どうも」は評価副詞としても認識副詞としても機能するのである.(3) また,この語の意味拡張では,推論の語義化が,使用範囲の拡張に先行しており,ここから,この話の意味拡張における解釈者の役割の大きさが窺える.

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