事象を継続的に解釈させる項の性質について

守屋 哲治(金沢大)

(1a) と (1b) とでは,目的語の名詞句が違うだけで,for an hour との共起可能性が異なる.
(1) a. Chuck ate an apple for an hour.
b. Chuck ate apples for an hour.
本発表では,このように事象を継続的に解釈させる名詞句が,項構造上どのような位置に起こりうるのか,そして名詞句の種類によって項構造上の制約がどのように異なるのかを検討した.

この現象は,内項が外項よりも引き起こしやすく,複数名詞が物質名詞よりも引き起こしやすいという典型性条件によって支配されているという説を提示し,またこれらの典型性条件は,事象の認知様式や名詞の概念化の様式の違いといった認知的な動機付けを持っていることを論じた.その上で,この仮説が,母国語話者への聞き取り調査と英語コーパスの調査でも妥当性が高いことを示した.