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頻度と不規則性―スペイン語動詞の場合

塩田 洋子

頻度と規則・不規則性の間にはどのような関係があるのかを,スペイン語動詞を具体例として検討した結果,次のことが明らかとなった。

  1. ある活用タイプに属する動詞の数は,その活用が規則的である程多い。すなわちそのようなタイプは生産的 (productive) である。特に -ar 型の規則活用は動詞の数においても頻度においても圧倒的に優勢で,このタイプが最も生産的で安定していると言われる所以である。
  2. 反対に活用のしかたが不規則である程,そのタイプに属する動詞の数は少なくなる。すなわち非生産的 (non-productive) になる。例えば動詞 ser は一語のみで,tener はそれ自身と派生語のみで一タイプを形成している。
  3. 一般に不規則性は話者の記憶の負担になりやすい。しかし不規則動詞はふつうその頻度が高いので,不規則活用を保つことができる。
  4. 不規則活用でありながらそのタイプの頻度が極端に低い場合には、本来の活用形の他により強力(生産的)なタイプからの類推によって新しい活用形が生じ,両者が共存して揺れが生まれることもある。(例 yacer)
以上のことは,頻度辞典をもとに作成した一巡の資料の具体的な数値によって裏づけられている。

参考文献

  • Juilland, Alphonse & Chang-Rodriguez, E. (1964): Frequency Dictionary of Spanish Words. Mouton, The Hague
  • Noble, Judith & Lacasa, Jaime (1980): Handbook of Spanish Verbs. The Iowa State university Press
  • 塩田洋子 (1984): スペイン語動詞の活用のパラダイム,東京外国語大学提出修士論文(未発表)
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