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古代セム語の詩的並行法における語の隣接性と依存関係について
―修辞的挿入現象の場合―

津村 俊夫

古典ヘブル語,ウガリト語の詩文テキストにおいて,二つの語(または語幹)A, B が隣接または並置されて複合的な統語的統一体 (Syntactic unit) [A B] または [A & B] を構成するような場合,それらの二要素間に X という要素(語・句・節)が挿入されることによって,本来そこにあるべき A と B との間の隣接性 (adjacency) または等位関係 (co-ordination) が失われるように見える場合がある。このような現象は,従来,散文テキストにもとづく文法規則に照して,語順の倒置 (inversion) または文法的不規則性という観点から説明されて来た。しかし,
dérek yəraṣṣəhû-šékmāh "They murder on the way to Shechem" (Hosea 6:9)
の場合のように,本来なら X [A B]:
という隣接性と依存関係 (P.H. Matthews, Syntax, 1981 に従って,依存関係を→印で示す)を有する文において,A と B の間に X が挿入されることによって A と B との隣接性が喪失した後にも X が A - B 統一体 (unit) 全体と文法的依存関係をもつような,詩文テキストにおける現象を,「並行法の文法」の一局面としてとらえることができる。
[A B] 複合体の場合に: ―
ホセア 6 : 9,イザヤ 10 : 5, 詩篇 24 : 6,109 : 10, ウガリト語テキスト KTU 1.17 : I : 3,VI : 22-23 他。
[A & B] 複合体の場合: ―
詩篇 11 : 5,37 : 20,46;2,50 : 20,ハバクク 2 : 2,KTU 1. 2 : IV : 27,1.17 : II : 12-13 他。

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