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日本語における空主語文の処理方略について―児童の言語習得の視点から―

隈上 麻衣
翟 勇
坂本 勉

音形を持たない抽象的な要素である空所をフィラーで埋める際に,どのような言語処理のメカニズムが働いているかについては,「解析器は言語知識を参照せずに距離的遠近に基づいて空所に一番近いフィラーで空所を埋める」という「知覚の方略」(cf. Frazier et al. 1983)と「解析器は言語知識を参照して空所を埋める」という「透明性の仮説」(cf. Sakamoto 1996)という対立する2つの仮説が提案されている。本発表では,文処理の際の言語知識と一般的な認知能力との関わりを明らかにすることを目的とし,日本人小学生を対象とし空主語文処理実験を行った。その結果から,低学年児の文処理においては空所をガ格名詞句で埋めるという言語的方略と,空所に近い名詞句で空所を埋めるという遠近に関する知覚の方略が競合しており,主文動詞の習得度が上がるにつれ,言語的方略を用いて文処理を行う段階へと移行すると提案する。

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