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日本語における「島」の効果の実験的記述

時本 真吾

本研究は,実験的手法により日本語の「島の効果」を定量的に示し,理論的考察のための基礎観察とする。英語の島は長く統語理論の関心事だったが,日本語の島の考察は少なく,研究者間で適格性判断も揺れている。本研究では,4種類の従属節(動詞補文,名詞補文,関係節,動詞付加詞節)を含み6文節から成る日本語の複文を各16文用意し,個々の文について従属節目的語を文頭に置くことで不連続依存文を作成した。質問紙ならびに聴覚提示により文法性判断を問う実験を行った結果,動詞補文に比べて他の3従属節内との不連続依存は難しく,名詞補文よりも関係節について島の効果が強かった。これは英語と共通する傾向で,島が通言語的な現象であることが窺われる。但し,本実験による島の効果は英語についての同等の実験結果よりも弱い。不連続依存制約には通言語的な側面と個別言語的な側面が共存していることを念頭に,理論的考察がなされるべきである。

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