幼児の単一項文の理解からみた格助詞理解と作動記憶容量のかかわり

水本 豪

本発表では(1)のような単一項文を対象に,幼児が格助詞に基づき文を正しく理解することができるようになるためには,作動記憶容量の発達が必要であることを示す。

  1. a. 主語文  NP-が Vt (NPは名詞句,Vtは他動詞を表す。)
    b, 目的語文 NP-を Vt

(1a, b)は,名詞句に付された格助詞についてのみ異なっている。もし,幼児が格助詞に基づく理解を行うことができるならば,両者を区別した正確な理解ができるはずである。本発表では,この単一項文を用いた言語獲得実験と作動記憶容量測定のためのリスニングスパンテストを行い,作動記憶容量の大きい対象児のみが(1a, b)の区別を正確に行うことができることを示し,格助詞に基づく理解が可能となるためには作動記憶容量の発達が必要であることを示す。