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ゲルマン諸語の非制限節における関係節化詞のタイプと関係節構文の派生・構造

稲田 俊一郎

本発表は,関係節化詞のタイプという観点から,de Vries (2006)の非制限節に関する分析の問題点を指摘することによって,非制限節の派生・構造に考察を与えることを目的とする。De Vriesは,Reconstructionを保障するPromotion仮説を保持しつつ,非制限的修飾とは "John, our boss" のようなSpecifying Coordinationの一種であり,非制限節は,この "our boss" と同じ構造的位置を占める自由関係節として分析されると主張し([DP John]AND [DP Ø空先行詞 who tØ is our boss]),同時に,非制限節におけるReconstructionの欠如も捉えられるとした。しかし,関係節化詞のタイプに関する観察は,この分析によって新たな問題が生じることを示している。本発表では特に,非制限節,自由関係節,そして指示/人称代名詞が先行詞の関係節での,顕在的先行詞の有無と関係節化詞のタイプとの関係に注目して,Promotion仮説に基づく非制限節の分析は困難であることを示す。

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