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前提条件操作の限界:「よろしかったでしょうか」の語用論分析

首藤 佐智子

近年,規範的な立場から批判の対象になっている表現の一つに,サービス業従事者が過度に使用する「よろしかったでしょうか」がある。しかし,表現自体は,新しいものではなく,以前の使用法は問題とされてこなかった。本稿では,近年の使用例と問題とはされない従来の使用例の分析から,同表現は「発話以前の段階で,聞き手によってなされた判断が話し手に認識されていて,発話の時点においてこの判断が聞き手の意向に一致していることを話し手が聞き手に確認する必要があると無理なく想定することができる」という前提条件によって本来は制約されていると仮定する。その上で,近年の使用法は前提条件による語用論的制約が操作されているものとして位置付ける。近年の使用法において,前提のアコモデーションが過度に要求されていることを示し,その結果として,聞き手に不快感を与えている可能性をポライトネスの観点から説明する。

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