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譲渡不可能所有構文の移動派生分析

中本 武志 (東北大学)

本発表ではフランス語を中心に,譲渡不可能所有構文の派生について次の提案を行う。(1) 身体部位の所有者DPは身体部位DP内に基底生成される。(2) 動詞がジェスチャーなど単純な行為動詞であれば単純なVP構造に投射され,様態を伴う動詞であれば,VP shell構造に投射される。(3) 所有者DPは身体部位DP内部からVP内のθ-位置へ(sideward movementによって)移動する。(4) 与格は動作の「様態」に関わる内在格である。以上の仮定により,(i) 所有者が主格・対格・与格のいずれで実現するのか,(ii) 他人の身体に対する行為には所有者が与格で現れるのに対し,自分の身体部位に対する行為には所有者は与格再帰代名詞ではなく,主格で実現する動詞があるのはなぜか,という点に加え,(iii) 制御との類似性,(iv) 寄生的空所の存在が説明できる。

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