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対照言語学の観点から見た人称制限の普遍性 -日中感情表現の対照を通して-

王 安 (北海道大学大学院)

日本語の感情形容詞は「*彼は嬉しい」のように、話者の感情しか表せないといった「人称制限」を持つことが広く知られている。一方、他言語における人称制限はこれまで研究があまりなされておらず、人称制限は従来日本語の感情表現の特質とされてきた。本発表はこうした感情を表現する際に起きる人称制限の現象を、汎言語的な視点から日中感情表現の対照を通してその本質と起因を究明することを目的としている。主要な主張は、次の二点である。

  1. 人称制限は感情に対する認識の問題に起因するのではなく、感情の表出行為によってもたらされる現象であって、中国語にも存在している。よって、人称制限は日本語に特有の性質ではなく、感情の表出行為を捉える表出性言語形式に見られる汎言語的な特徴である。
  2. 日中両言語において感情形容詞と副詞「真」はそれぞれ表出性言語形式であり、発話されることによって感情の表出行為が成り立つ。一方、日中両言語にも反映されるように、言語によって具体的な表出性言語形式は異なる可能性があるため、人称制限が生じる具体的な環境は言語によって様々である。
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