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想定どおりの事態に対する感嘆文

金子 真(岡山大学)

本発表は、通常は話者が当面する事例が想定外であるという驚きを表わすが、想定どおりの事態に対する感嘆を表わすこともある、フランス語のNP qui...構文を扱った。まず当構文は、主文述語c’est / il y aを欠く焦点化構文であり、意味的に焦点事例とそれと範列的関係をなす事例の集合を喚起すると主張した。そして焦点事例と事例集合の関係を特定すべき主文の欠如のため、両者は語用論的に関連付けられ「量の原則」が現実世界とその他の可能世界を対比させるように働き、「焦点事例は現実世界でのみ真、その他の可能世界では偽」という含意が生じ、その結果「想定された事例集合の中に焦点事例が見つからない」という驚きを表わす意味が生じると提案した。次に想定どおりの事態を描く場合も、話者は出来事の成立は予測しているが、それが起こる時点・地点までは想定していないと考えることにより、上の場合と同様に分析できると論じた。

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