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曖昧構文の理解における従属節の韻律の影響:英語if節を中心に

小泉有紀子

英語従属節(if節)の韻律特性が曖昧構文(否定とbecause節構文: e.g., The secretary didn't resign because the company altered her compensation)の理解に及ぼす影響について黙読実験と音響分析の結果をもとに考察する。

黙読実験でこの構文をそのまま提示した時(主節条件)は否定がbecause節を作用域にとる解釈の読み時間の方が有意に長かった(=好まれない解釈)が、文頭if節の中に埋め込んだ場合(if節条件)では差がなくなることがわかった(相互作用p's<.01)。この構文の理解における解釈選好度の不均等がif節により中和されたと見られる。ではif節埋め込みには実際どのような効果があるのか。黙読実験ではbecauseの直前に改行(=非明示的韻律境界)を挿入するとif節条件であっても上のような中和効果が見られなかった為、非統語的要素、特に韻律的要素(文中の韻律境界の有無)がこの曖昧構文の理解に重要とみられる。音響分析の結果をもとにこの主張を検証し、さらに従属節一般の韻律構造と情報構造の研究の足掛かりとしたい。

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