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日英語の場所表現の意味構造―相対名詞の機能を中心に―

川村 三喜男(東京言語研究所)

Herskovits (1986) が「3つの基本的な位相的前置詞」というカテゴリーに括った at, on および in を Kawamura (forthcoming) は predicate と見倣し,その意味が a) 位置対象と参照対象との関係を表す特徴(関係的特徴)と b) 参照対象を話者がどのように認知しているかを表す特徴(認知的特徴)の2つの意義特徴からなるものとした.通常,at, on, in はそれぞれニ/デ,ノ上ニ/デおよびノ中ニ/デに対応するとされるが,実際にはこれら3つの英語場所辞はニ/デに対応することもあり,またノ上ニは on だけでなく above にも対応する.本発表ではニ/デが上にあげた3つの英語場所辞と異なり,predicate ではなく関係的特徴のみをもつことを示し,ニ/デではなく,それが付加される語句の指示対象が[場所]を表していることを論じた.これによって,[場所]として認知されえない語句にニ/デが付加されると場所表現が形成されず,そのためにはノ+相対名詞の支えが必要となるが,相対名詞の機能は「[-場所]として認知された対象に関して方向を定義し,定義した方向に関連づけて別の対象の位置を規定する」とその機能が記述される.よって,ノ+相対名詞+ニ/デは,Herskovits が呼ぶところの「投影的前置詞」(in front of, to the right of, aboveなど)と形式,機能の両面において一致する点が大きいことを明らかにした.

[引用文献] Herskovits (1986) Language and Spatial Cognition. CambridgeU. P./ Kawamura (forthcoming) "Dimensionality and its (Ir)relevance to the Semantics of Some Basic Location Markers in English" in: Newsletter the Edward Sapir Society of Japan 9.

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