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談話における「でも」の機能について

曺 永湖(東北大大学院)

「でも」を談話分析の視点から見てみると,自分の意見に注目を当てる highlighting の機能,相手の同意を求めながら自分の意見をのべる attention getter の機能,談話の主題に新たな面を加える話題の拡張の機能をもつ.

本発表では,談話上「でも」が用いられる場合について,補償マーカーを伴うことから,positive face をおびやかす談話マーカーであると考えて,その談話上の機能を分析し,話題の拡張,highlighting などの機能が「でも」の face-threatening マーカーとしての機能から派生されることを明らかにする.

「でも」は,談話の pre-starts の場合と,自分の turn の中で用いられる場合があり機能が異なる.その異なる機能は Positive politeness という観点を取り入れることにより説明できる.

例1 あのう(*でも),わたしどもの意見とずれがあるようでありますが,

例1 の場合,「あのう」は「でも」と置き換えられるが,「でも」が現れることはない.「あのう」は mitigator の機能を持っているが,「でも」は直接的に相手の意見を反対する face-threatening マーカーなので,政治討論のような公的な場や社会関係で目上の人には用いることができない.

例2 1A おばあちゃんだけではなく,若い女もおおいんですよ.

2B じゃ,いいですね.でも,わけへだてなくやるのはたいへんですね.

例2 の 2B の「でも」は,相手の顔を損ないかねない状況を補償するために「ね」を補償マーカーとして使っている.つまり,積極的な丁寧さを示す「ね」を使うことによって相手の面目を損なわないようにしている.

しかし,自分の談話のなかで用いられる場合は,一般的に face-threatening は間接的に働く.

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