中国語のパーフェクトに関する一考察
―“-過”と“-了”を中心に―

劉 綺紋(大阪大大学院)

本発表は,“-過”パーフェクトと“-丁”パーフェクトの異同について考察した.中国語のパーフェクトは,状態パーフェクト,動作パーフェクト,包含パーフェクトという,Маслов 1984 の分類によってタイプ分けできる.そのうち, “-丁”はいずれも表せるのに対し,“-過”は動作パーフェクトしか表せない.1) 包含パーフェクトを“-過”では表せず“-了”で表せるのは,“一過”の完結性がいかなる局面にも及ぶのに対し,“-了”完結相は局面を完結しないことがあるため.2) 状態パーフェクトを“-過”では表せず“-丁”で表せるのは,“-過”が不連続性をもつのに対し,‘-了”は不連続性をもたないため.また,動作パーフェクトはさらに3つに分けられる.1) 結果状態を生じない局面にょって作られるもの.2) 結果状態を生じたが,参照時間までに結果状態が終了しているもの.3) 結果状態は参照時間においても保持されているが,重点を先行局面に置くもの.このうち,3)は“-過”によって捉えられない.それも,“一過”の不連続性に起因する.