延辺朝鮮語のアクセントに関する考察

朴 永梅(京都大大学院)

延辺朝鮮語は絶え間なく中国語と接触してきた.それと同時に北朝鮮の朝鮮語の影響をうけてきたが,この十年間について言えば,韓国語の影響が強くなっている.本発表では,咸鏡道方言のアクセント研究と対照しながら,共時的な観点から,延辺朝鮮語のアクセントパターンと韻律パターン,また複合名詞と借用語のアクセントの記述を試みた.それによって,延辺朝鮮語の複合名詞アクセントの無標の付与位置が最右要素であることが明らかになった.さらに,尾高型か延辺朝鮮語の default 型であることは,中国語や韓国語からの借用語へのアクセント付与によって,傍証された.単純語も複合語も同じ規則に従って,それぞれアクセントの配置が行われていることも確かめられた.