川柳とプロ野球声援における「字余り」と音節

田中 真一(大阪外国語大)

日本語は,従来から「モーラ・タイミング言語」あるいは「モーラで数える言語」であるといわれている.

また,一方で近年,句末や文末などの「末尾」に位置する特殊拍は,物理的に短く発話されるという報告がされている.

本研究では,これと関連する現象について,特に現代川柳とプロ野球声援における「字余り」のデータを分析することにより報告する.そして,それぞれにおける末尾要素のみは,モーラだけでなく「音節 (syllable)」によってカウントされてもよいことを指摘する.

さらに,本稿で扱う現象が,日本語における様々なリズム現象においても観察されることを報告する.