バンティック語の mapa- 形の機能

内海 敦子(東京大大学院)

本発表では,インドネシア,スラウェシ島において話されているバンティック語における接頭辞 mapa- の機能を考察する.mapa- は,形容詞か動詞に前接し,多様な意味・機能の変化を引き起こす.mapa- が付く形は,まず第一に nu マーカーを持つ名詞句を目的語として好む傾向にある.第二に,形容詞に前接するとそれを動詞化する.第三に,自動詞であれ他動詞であれ,必要とされる項を増やすことがある.第四に項を増やすと見える場合もそうではない場合も,意味変化を起こす.mapa- の付いた動詞は元の形容詞や動詞の表す状態・動作を他社に実現させる,使役の意味を付加することが多いが,単純な使役の意味以外の意味を付加する事があるう.今後は,包括的に多くの動詞のmapa- 形を調べ,それぞれの態についても調査したい.その上で,mapa- 形の持つ意味と機能を分析していきたい.