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「も」の解釈 ―夏も終わりですね―

深田(山中)美恵子(神戸大)

本発表では,一般的に「柔らげ」と呼ばれる「も」を2つのタイプに分けて分析した.
(1) 詠嘆系: 夏(初め)→ 夏(盛り)→ 夏(終わり) 夏も終わりですね.
(2) 驚嘆系: 君(バカ以外の属性)→(出来事の発生)→君(バカ) 君もバカだな.

詠喫系の (1) では,「朝夕が涼しくなってきた」「空か高くなってきた」など現前の事象を統括して含意する場合と,時間軸をさかのぼりながら,「夏」の「初め」「盛り」の頃を思い出して感慨深く含意する場合がある.また,どちらも同時に含意することもできる.

驚嘆系の (2) では,「君」について「ばかだ」と認識する事態が起こって,驚きの念をもって発話している.「は」の属性叙述と異なり,発話場面に依存した属性叙述である.詠嘆系,驚嘆系と解釈できる場合は,次の3つの条件が必要となる.(1) 述語は属性または属性変化と解釈できる.(2) 「も」が付加された名詞句が指示する対象が,発話時以前に既に存在しており(所与の存在であり),当該命題では述語が焦点の要素として塁加されている.(3) 述語が直接形で話し手が発話時での直接経験あるいは直接経験判断が可能である.

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