「が・の・を交替」が可能な文の助詞の選好性の調査


藤原 崇

本発表では(1)に示すような「が・の・を」のいずれの助詞も指定された位置において使用可能な文を提示した場合に話者がどの助詞を選好するかを明らかにする。


    1. 博光はお酒[が]飲める店に行った。
    2. 博光はお酒[の]飲める店に行った。
    3. 博光はお酒[を]飲める店に行った。

(1a, b, c)は,関係節内の名詞句がどのような格助詞で標示されているかという点が異なっているが,文の意味が助詞の種類によって変わることはない。実験では出身地の異なる年齢19歳から41歳の被験者を対象にして,紙面での調査,モニタに刺激を呈示し発話してもらう二種類の課題を行い,被験者は二種類の課題いずれにおいても,助詞「が・を」の使用を助詞「の」より優先するという結果を得た。本発表では,実験結果に基づき,「が・の・を」の交替が可能な状況では「の」の使用は避けられる傾向があると主張する。