シンハラ語の動詞分類と形態的特徴の関係

ディルルクシ・ラトナーヤカ

シンハラ語の動詞は,従来,統語的な観点から「他動詞」と「自動詞」に分類されており,両者を形態的に区別することは不可能だといわれてきた。しかし,シンハラ語では,自他の区別とは別に,動作主の意志性や自発性を基に動詞を分類することができる。本発表では,動詞を「自他」及び「意志性」または「自発性」という特性に基づいて分類し,動作主に現れる名詞の有生性と,動詞の意志的・非意志的区別及び自他の区別が関連していると主張した。有生名詞が主語の場合,他動詞の意志動詞は,対応する非意志動詞も他動詞になり,自動詞の意志動詞に対応する非意志動詞も自動詞になる。無生名詞が主語の場合は,自発的自然現象を表す。
また,分類の結果,意志性に基づく動詞の形態的特徴が明白になった。意志的動詞の語幹は「前母音―後母音」あるいは「後母音―後母音」からなる場合が多いのに対し,非意志的動詞の語幹は「前母音―前母音」からなる傾向が強い。