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日本語における主語と目的語の統語構造上の位置について
-文解析実験の観点から-

小泉 政利(東北大学)
木村 直樹(東北大学大学院)
金 情浩(東北大学大学院)

最近の生成統語論の研究において、日本語の主語と目的語の統語構造上の位置に関する主要な対抗仮説が三種類ある。仮説1)語順に関わらず主語が常にvP指定部からTP指定部に移動する。仮説2)語順に関わらず主語が常にvP指定部に留まる。仮説3)SOV語順の時には主語が、OSV語順の時には目的語が、TP指定部に移動する。一般に、かき混ぜ移動の数が増えるほど読解時間が長くなることが知られているので、上記三仮説はOSV語順の文における副詞の生起位置と文読解時間の関係についてそれぞれ異なった予測をする。どの予測が正しいかを検証するために、文副詞の一種である相副詞を用いて文正誤判断課題による文解析実験を行った。その結果、「目的語・副詞・主語・動詞」語順の読解時間が最も短く、「目的語・主語・副詞・動詞」語順の読解時間が最も長かった。この実験結果は、仮説3の予測と一致するが、仮説1の予測とも仮説2の予測とも異なる。したがって、仮説3 (Miyagawa & Arikawa 2004) が支持された。

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